「結衣、怖いなら怖いって、辛い、苦しいって言っていいんだよ。その為に僕がいるんだから。僕の存在を無駄にしないでよ」

「…他の患者さんだっているから」
「あまり大きな声では言えないけど…」

そう前置きし、僕は結衣の耳元で囁いた。

「他の患者さんより結衣が大事だから。いつだって優先順位は結衣が一番」
「……嬉しいけど、それって医者としてどうなの?」

頬に伝う涙を拭いて結衣は笑ってそう言った。