「無いから欲しいと思うのは当たり前だよ。だったら僕はどうなるの?一番欲しかった結衣を手に入れたのに、会えないと…結衣が隣にいないとこんなに寂しい」

落ち込んで弱音を吐き少しマイナスな事を言うと彼は真面目な顔でそう言って抱きしめてくれた。

先の見えない入院生活で自分でも知らない内に心が擦り減っていたんだろう。
でも彼のおかげで再認識できた。

『やっぱり私は彼を残して死ねない』って。

「…ゆうちゃんは、私がいなきゃダメだね」
「そんなのお互い様でしょ」

ギュッと抱きしめられた腕からはゆうちゃんの優しさが伝わってきた。