君の世界を知りたかった。

「本当にありがとう。……私の中学の時の話、前にも話したけど、その出来事が私をいつも邪魔するの」

「中学の時は1人だったかもしれないけど、今は私がいるでしょ?大丈夫」

「そうだよね。私、宇佐美君と仲良くするの頑張る!」

「絶対成功させなさいよ?」

「うん!宇佐美君のとこ行ってくる」




▷▷宇佐美君いないかな?

トイレに行ってくると言って、まだ教室に帰ってきてないのだ。


1階に降りてみよう。

階段を降りて、職員室の前を通る。

職員室に用はないので、通り過ぎようとした。



「松崎先生。最近、あいつはどうなんですか?」

「あいつって?」


担任の松崎先生と隣のクラスの谷先生の話し声が聞こえてくる。


「宇佐美の事ですよ。大丈夫なんですか?」



え?今、宇佐美って言ったよね?

でも違う人かもしれないし……いや、宇佐美なんて名前の人、そうそういない。


「圭の事ですか?あいつは本当に成長しましたよ。中学の頃とはまるで別人のようで。今は、学校が終わったらちゃんと家に帰って来ますし」

「本当に大丈夫なんですか?」

「はい。だいぶ変わりましたしね。」


どういう事?


変わったって、なにが?

一体宇佐美君に何があったの?


あと、もう1つ疑問に思ったことがあった。

松崎先生は宇佐美君の事を"圭"と言っていた。

松崎先生と宇佐美君がしゃべっているところを、あまり見た事がない。


何か関わりがあるのかな?


気になることばかりだけど、とりあえず宇佐美君を探そう。