「それにしても、葵ちゃんと咲ちゃんって知り合いだったんだね」
まただ。また探るような目で見てくる。
「咲とは中学が一緒だったんです」
「葵は私の親友だよ、由希くん!」
答える私の隣で満面の笑みを浮かべる咲。さすがに相原先輩も咲には弱いらしく幾分か雰囲気が和らいだ。
「じゃあ咲ちゃんがいるから転校してきたの?」
その言葉にはたぶん”今までどこにいたんだ”って意味も含んでるんだと思う。どうあっても私の情報を引き出したいらしい。
まあ、このくらいなら言っても大丈夫だけど。
「中学を卒業してから1年間留学してたんです。期間も終わったので転校先としてよく知る東雲を選びました。咲がいることは知らなかったので正直驚きましたけど」
「ふーん。なるほどね」
相変わらず疑ってる目だけど、少しは納得してもらえた…のかな?
「なんでもいいけどよ、その転校生をなんでここに連れてきたんだ?」
「私もそれ気になってた!もしかして葵を姫にするの?」
落合くんと咲に聞かれてそういえばと思い出す。結局私も連れてこられた理由しらないんだ。
なんでだろうと相原先輩の方を見てみると、先輩は相変わらず笑みを浮かべていた。
「姫にするわけじゃないよ。だけど葵ちゃんにはしばらく俺たちの目の届く範囲にいてもらう。ちゃんとした情報が掴めるまでね」