「さて始めますか」
肩と首をぐるっと回してから目の前のパソコンと向き合った。
さっき忍さんと雅輝さんに水をかけられたこととか諸々バレて、
「お前がイジメられて凹んでるとかは思ってないけど今日は早退して家で休め!いいか!休むんだぞ!」
と言われたので時間はたっぷりある。
調べるのは双龍の現状と黄牙の作戦だ。
なんとなく最近ハッキングするのを控えていたが、一般生徒にまで影響が広がっている今の状況を鑑みれば、手段は選んでいられない。
いくつもあるトラップを掻い潜って最深部に入り込んでいくと、両者の今後の動きまで手に取るように分かる。
念入りに一つずつ情報を潰していけば、欲しかったものは割とすぐに見つかった。
「そういうことか...。裏切り者の存在もあながち間違いじゃないわけだ」
パソコンを閉じ、ベッドに倒れ込む。
思わず自分の腕で目を覆ってしまうほどには表現しがたい感情が襲い掛かってきていた。
「やっぱりずるいよ...」
“ ”。