道具の片づけやらなんやらは理がやってくれると言ったのでそちらに任せ、目的の人物を探すべく辺りをくるっと見回す。

...いた。

その人、小早川くんは少し離れたところからこちらの様子をうかがっているらしい。

そっと彼に近づき、そこそこの距離を開けてから隣に座った。


「小早川くん」

「...」

「私のこと、嫌いですよね...。女の子、ダメなんですか?」

「...」

「私、ここに来るのやめますね」

「えっ...」

「小早川くんの嫌なこと、したくありません。相原先輩にはあとで伝えておきます。」


幸い全員分の連絡先を登録されてしまっているので、後でメールでも送っておこう。それで怒られはしないはずだ。多分。


「ちょっと待って!」


倉庫を去ろうとした私を何故か彼は引き止めた。しっかり腕まで掴んで。
すぐに逸らされてしまったけれど、はじめて私の目をまっすぐ見てくれた。


「確かに俺、女子は苦手だけど!人見て騒ぐし追っかけてくるし、外見で判断してくるやつばっかだし...。でも、葵は大丈夫だから!」

「え...?」

「ちゃんと”俺”を見てくれた。”俺”の気持ちをを考えてくれた。だから嫌いだなんて思ってない!それで、その...ここに来るのやめるなんて言わないでほしい!」