「学校が同じだったなんてことはないよね?」

「それはねぇよ信乃。俺と永和は小中一緒だけど、そんな名前聞いた事ねぇし。
そもそも咲と中学同じなら違うだろ」


くっそ分かんねぇ。あんな印象強いやつ、絶対忘れるわけねぇのに。


「まあ近くにいれば何かわかるかもしれないし、焦ることはないよ」


由希の一言でこの話は終了。
丁度いいタイミングで幹部室のドアが開き、葵が顔を覗かせた。


「私もう帰りますね」


時計を見ると6時を過ぎている。いつの間にかこんなに時間が経ってたのか。
バイクの鍵を持ち、もう片方の手で葵を引っ張っていく。

何やら「自分で帰る」とか抗議しているが聞こえないフリ。
さっきと同じように抱き上げてやれば途端に大人しくなった。


「お前の家どこだ?」

「近くのコンビニまででいいです」

「家」

「コンビニ」

「家」