あなたの心臓になりたかった

「この三人は、私と同じM高校の福祉コースだったんだ。それぞれ福祉に関する仕事に就いてるよ」

詩織さんはそう言い、キッチンに立って調理を始める。料理はあっという間にできた。おいしそうなキノコとサンマ缶の和風パスタだ。人の手料理なんて久しぶりで、胸が温かくなる。

「詩織、料理できるんだな！意外〜」

「あ、馬鹿！！太陽！！」

海斗さんが止めたが、詩織さんの耳にはばっちり聞こえていた。ぐるりと振り向いて怖い笑みを浮かべる。

「太陽のご飯はなしね！」

「ええ〜！！ご、ごめんなさい！！」

詩織さんはスープとサラダも作り、五人で「いただきます」と食べ始める。……おいしい。それに、こんなに大勢で食べるなんて初めて。

「そういえば、この前こんな患者がいてさ〜」

「ああ〜、そうやって無茶する患者さんいるよな〜……」

「でも、それだけ熱心なんじゃない？早く回復したいって」

「PT（理学療法士の略）とOT（作業療法士の略）は大変そうだな」