あなたの心臓になりたかった

ガチャッとドアの開く音がして飛び起きる。誰?両親は帰ってくる時期じゃないし、泥棒?

身構えていた私だったが、リビングにやって来た顔を見て安心した。長い髪を一つに束ね、赤いストライプのシャツと黒いスカートを履いた女性だ。宮内詩織(みやうちしおり)さん。私の歳の離れたいとこだ。保健師として働いている。

「三葉、久しぶり。夕ご飯まだ食べてないでしょ?作りに来た」

「え、そんないいのに……」

「ダメ!あんた、前もそう言って栄養失調になったじゃない。それに今日は紹介したい人たちがいるから」

「紹介したい人?」

すると、リビングに三人の男性が入ってくる。どの人も穏やかな表情だったけど、なぜか怖いと思った。信じちゃダメだと心が叫んでいる。

「村田太陽(むらたたいよう)です。理学療法士をしています!」

「大野颯(おおのはやて)です。特別支援学校の教師をしています」

「南海斗(みなみかいと)です。作業療法士をしています。よろしく!」