あなたの心臓になりたかった

私の両親は共働きで、それぞれ忙しい仕事に就いている。特に母は海外出張の多い仕事だから、日本を離れることも多い。

だから、私は小さい頃から鍵を持たされて、家の家事をして二人の帰りを待っていた。でも、二人は娘よりも仕事が大事みたい。話を聞いてくれないし、「遊んで」と言えば返ってくるのは「忙しいから無理」という言葉。

そんなことが積み重なって、私の心を壊していった。死にたがりになって、自傷行為に走ったこともある。でも、傷だらけになった腕を見ても、二人は何も言わなかった。

そして今、父は北海道に、母はドバイに出張している。帰って来るのはいつになるんだろう?まあ、帰って来ても何も変わらない。孤独な日々だけが続いていく。

私は、制服からジャージに着替える。人に会うこともほとんどないし、休日は出かけないため、同じクラスの女の子が持っているようなおしゃれな服なんて一着もない。

時計を見れば、もう七時前。夕ご飯を食べないといけないんだろうけど食べる気がしない。そのままソファに寝転び、ボウッと空中を見つめていた。