「ありがとう、そんなことを言ってくれて」

私が顔を上げた時、蛍さんの目からも涙がこぼれていた。それでも、その顔は穏やかで優しいままーーー。

私は、初めて誰かのために泣いた。



実習を終えて、数週間後。私は未だに心にモヤモヤした気持ちが残ったまま。

大切なことは、学べたのかもしれない。でも勝手に泣いて、蛍さんに迷惑かけちゃったな……。

「一年三組、宇野三葉さん。今すぐ保健室に来てください」

保健室の先生から呼び出され、帰ろとしていた私は慌てて保健室へと向かう。呼び出されたことなど、今までない。何かあったっけ?

「失礼します……」

保健室に入ると、「三葉ちゃん、これ」と結衣先生が封筒に入った手紙を渡してくれた。

「実習で仲良くなった子が三葉ちゃんにって……」

「蛍さんが!?」

私は慌てて封筒を開く。すると、封筒の中に手紙以外にもう一枚紙が入っていることに気づいた。

「何だろう?」