一緒にいた時間なんて、ほんの一瞬。それでも私は、蛍さんの生き方を知った。彼女は死を恐れるよりも一瞬の時を大切に生きる人なんだ。ああ、もう止まんない……。

「三葉ちゃん?」

蛍さんの手が止まる。私は、泣いていた。涙を慌てて拭っても止まらなくて、そのまま蛍さんに抱きついてしまった。

「ごめん……なさい……。ごめん……なさい……」

途切れ途切れに謝る。なぜ、謝っているのかわからない。でも、伝えたいことがあるから……。

「あなたの……代わりに……私が癌になれば……よかった……。あなたに、もっと……生きててほしかった……。本当に、ごめんなさい……」

死にたい私は、今日もこれからも息をしていく。でも、生きたいって思ってる蛍さんは明日を生きられるかわからない。それが悔しくて、神様の選択に苛立って、どうしようもない。私なんかより、ずっと蛍さんの方が生きる価値があるのに。

「何も……何もできなくて、ごめんなさい……」

できることなら、あなたの代わりになりたかった。ただ、泣くことしかできなくて……。