葵さんはそう言い、私をジッと見つめる。その顔は何を伝えようとしているんだろう?

「三葉ちゃんも、今日一日のどこかできっと、大きなことを知ると思う。それを将来につなげていってほしいんだ」

そう言い、葵さんは利用者さんを連れてシエルの中へ戻っていった。

「深い話だな……」

私ではなく、蛍さんが呟く。その声にはさっきの明るさはなかった。



実習時間は、どんどん少なくなっていく。でも少なくなるたびに感じるのは、蛍さんがとてもいい人だということ。

「人はさ、いつか死んじゃうんだ。だからこそ、悔いのないように最後まで生きていたい。だからこそ好きなことを思いっきりやって人と楽しく話して笑うんだ!」

蛍さんがそう言いながら鉛筆を走らせる。今、私は蛍さんに絵を描いてもらっている。思い出に描かせてほしいと蛍さんが言ってきたんだ。私を描いても、どうしようもないのに。

私とは正反対の人。明るくて、優しくて、人に愛されてる。私が体を動かしてしまっても、文句すら言わない。ただ、穏やかに笑ってて……。

そんな目で、見つめないで……。