葵さんは蛍さんと笑顔で話し始める。蛍さんは言った。

「葵さんのからくりピエロ、とっても素敵でした。ウルッて来ちゃいましたもん!」

「ええ〜!嬉しい!」

笑い合う葵さんと蛍さんは、とても素敵だ。私が汚く見える。自分と向き合うって詩織さんから言われたけど、見れば見るほど自分が醜く見えてしょうがない。虚しい。消えたい。

「三葉ちゃん?」

葵さんに顔を覗き込まれ、私はハッと我にかえる。蛍さんまでキョトンとしていた。ヤダ、黒いものが心から離れない。

「何で、葵さんは介護福祉士になろうって思ったんですか?」

口からそんな言葉が飛び出す。きっと、好きで介護福祉士になったんだろう。夢のない私とは大違いだ。

葵さんは、「そうだね。少し長くなるけど……」と言い話してくれた。その顔は切なげだった。

認知症のおばあちゃんを受け止められず、福祉なんて興味がなかったなど、信じられない言葉が飛び出していく。私は驚いてしまった。だって、あんなに笑っているのに……。

「もちろん今は介護が大好き!過去に戻れたら、それを自分に言えたのに……」