まるで、他人事のように蛍さんは明るく話す。この人は死ぬことが怖くないのかな？生きたいって思わないのかな？胸がとても苦しい。何で？

「死ぬの、怖く……」

私が言いかけたその時、「は〜い！レクリエーションの時間ですよ〜」と言いながら職員さんが入ってくる。蛍さんの顔は前よりも一層明るくなった。

「やった〜！今日はカラオケですよね？歌いまくるぞ〜」

「アハハ。マイクを一人占めしちゃダメだからね」

レクリエーションをするために、私は蛍さんと職員さんと一緒に一階へ移動することになった。移動している最中、蛍さんはなぜか私の手をずっと握っていた。でも、嫌じゃない。

レクリエーションは、お年寄りも若者も一緒になって行う。職員さんもレクリエーションに参加するらしい。

お年寄りの歌う演歌、小学校低学年ほどの子が歌うアニメの主題歌、職員さんが歌う洋楽、蛍さんはどの歌も楽しそうに聴いていて、終わるたびに大きな拍手を送る。場を盛り上げようとするです私とは、大違い。