あなたの心臓になりたかった

ドアを職員さんが開けると、病院の個室をイメージしていた私は驚いた。

まるで普通の家の一室のように、可愛らしいカーペットなどが敷かれている。家具も揃えられていた。パステルカラーの家具などは女の子らしさを出している。

「初めまして!佐藤蛍って言います。前までは大学に通ってました」

ベッドの上に座った女の子が笑顔で言う。明るい色のトップスとスカートという服装で、終末期の人には見えない。

「じゃあ、しばらくお話ししていてね」

職員さんはそう言い、部屋を出て行ってしまった。どうしたらいいんだろう。

「あなたのお名前は?」

蛍さんに訊かれ、私は「三葉です……」と答える。「三葉ちゃん!可愛い名前!」と蛍さんは笑った。

「学生さん?高校生?」

「M高校の一年生です」

「わっ!若〜い!いいな〜、華の高校生活!」

蛍さんに「座りなよ」と言われ、私はベッドの近くにある椅子に腰掛けた。とても柔らかい。そして、目の前にいる人が健康な人なんじゃないかなって思えてくる。