あなたの心臓になりたかった

「着いた〜!!」

「おお〜!写真で見るより大っきい〜!!」

シエルに着くと、二人は目を輝かせる。まるで実習が楽しみみたいだ。でも、何で?だってここはいつ死んでもおかしくない人がいるところだよ?

「実習、楽しみなんですか?」

私が訊ねると、「うん!」と二人は同時に言う。何で?何でそんなに笑ってられるの?

「実習ってね、教科書や学校では学べないことがたくさん学べるんだ。だから楽しみ。終末期についてたくさん知れる」

私の疑問を察したのか、葵さんが真面目な顔になって言った。終末期って何だろう?

「終末期は、余命宣告をされてあと数ヶ月ほどしか生きられないことを言うんだよ」

チェリーさんが教えてくれた。そんな風に言うんだ……。

施設の中に入ると、制服を着た女性が歩いてくる。葵さんたちよりずっと年上に見える。私の緊張は増した。

「私はここの施設長の田中です。今日から二週間実習に来る須藤さんとクルーズさん、そして今日一日だけ実習する宇野さんですね」

「はい!!よろしくお願いします!!」