あなたの心臓になりたかった

うつむきかけた私を、葵さんがジッとミラー越しに見つめる。その目はとても真剣で、目をそらせない。

「あ、あの……?」

私が恐る恐る訊ねると、葵さんは目を輝かせながら口を開いた。

「ねえねえ、三葉ちゃんはどんなファッションスタイルが好きなの?三葉ちゃん、スタイルいいからスキニーパンツとか絶対似合うよね!あ、でもフレアスカートとか可愛い系も似合いそう!三葉ちゃんに似合いそうなブランドはーーー」

「葵、ストップ!三葉ちゃん混乱してます!!」

チェリーさんが止めてくれてよかった……。葵さんが何を言っているのか、半分以上理解できなかったから……。

葵さんは残念そうな顔をしたものの、チェリーさんと話し始める。そして時々私に話題を振ってくれた。

私は、葵さんやチェリーさんが話しかけてくるまで、自分から話すことなく窓の外を見続けた。だって、私なんかと話しても楽しくない。私の話を聞いてもらうなんて申し訳ないから。