あなたの心臓になりたかった

シエルとは、余命宣告をされた人たちが入所する施設。お年寄りもいれば、若者もいるらしい。なぜそんな施設が作られたかというと、残り時間の少ない家族と向き合えない人たちがいるからだそう。

私は、気がつけばテーブルを叩いていた。

「何で！？私は福祉コースの生徒っていうわけじゃない！！何で、そんなことをしなくちゃいけないの！？私の人生なんだから、私がどうなろうと勝手でしょ！！」

詩織さんたちは、私をただ静かに見ていた。それが余計に苛立ってくる。

「私がどうなったって、誰も悲しむ人なんかいないんだ！！お父さんたちは仕事ばっかだし、友達なんていない！！詩織さんだって、そばにいてくれるわけじゃないんだから！！」

私は怒りに任せ、心の奥底に普段は隠していることも全部ぶちまけた。言ってしまって、リビングが静かになった時、後悔がフツフツと出てくる。私は、大人しく従えばいいのに。そうでしか、生きる価値なんて……いや、最初からないのか。