「女神だぞ!」 船頭が声をあげた。 「ああ、まるで女神だな、 おーい!」 食料品を乗せて運ぶ男が それを見て手を振った。 男達の笑顔の先、 白く輝く波の向こうに 女神はいた。 女神は防波堤の上に立ち こちらに向かい 高く右手をあげて 振っている やわらかな鳶色の髪を 潮風にたなびかせて… 女神はマフラーをしてた ああ、 それは去年 オレが編んで プレゼントした…