呼ぶ声に振り返ると
ウッシーがいた。


「風邪ひくぞ」

ウッシー…

あたしのことが心配で、

あたしを追いかけて
来たんだね…


「ウッシー…、あたし
 ここまできたのに…」


ウッシーはだまって
あたしを抱きしめる。


「帰ろう、
 この天気じゃ仕方ないよ。

 それに
 お母さんも会うなって
 言ってたんだろ?」


「あたし、

 あたしやっぱり
 柊にぃのことが…」


「うん、わかった。
 わかったから」


子供をあやすように、ウッシーはあたしの背中をポンポンと叩いた。


違う、わかってない!


でも
あたしは何も言わず
ウッシーの胸で泣いた。



そうしてあたし達は、台風の接近で荒れる漁港を後にした。



柊にぃ…

あたしたち

これが運命なのかな…