あたしは沙也香に
言葉を投げつけた。


「あんたのせいなんだからッ!」


出た言葉と一緒に涙があふれる。


「あたしつらかった。

 いつもひとりで…」


あたし平気なふりしてたけど
本当はさみしかった。




ひとりでいた教室。



ひとりで食べたお弁当。





「…うらやましかったの」


沙也香が口を開いた。


「あたし、瑠璃がうらやましかった。

 うちの兄はね、瑠璃のことがお気に入りだった。あの子飲み込みが早いって、一緒に勉強したあとはいつも瑠璃をほめてた。

 柊路さんだって、
 牛島くんだって、

 あたしの欲しいものを、いつだって瑠璃は簡単に手に入れる」


ホームに電車が到着した。


「柊路さん、

 見送りありがとう。

 ひとりで出発は
 さみしかったから…」


電車に乗り込みながら
沙也香は言った。