日が暮れてきた


風が少し出てきて寒かった



「 楽しかったな…」

愛さんがしみじみ言った



「うん」



「ありがとね、藍くん
修学旅行連れてきてくれて
高校の修学旅行
行けなかったから、私」



「うん」



「もぉすぐ終わっちゃうね…
嬉しかったな…」



愛さんを見たら
笑いながら泣いてた



オレはそっと愛さんを抱き寄せた



「また、一緒に来ようよ」



「うん
ありがと、藍くん

みんなが修学旅行行ってるころ
私、一番ツラかった…

みんな、いなくなって…
ひとりだった、私…

藍くんと、修学旅行来れてよかった
ホントに、よかった…

ありがと
藍くんに出会えて、よかった…」



寒いからか、少し泣いたからか
愛さんの鼻先が赤くなって
かわいかった



「うん、オレも
愛さんと修学旅行来れて良かった

オレのために、制服着てくれて…ありがと
制服デート、楽しかった

それから…
さっき愛さん言ってたけど、
確かに…オレ
愛さんのことしか見てないわ

愛さん、ありがと
オレに出会ってくれて…」



ふたりで笑った



いつまでも
この時間が続けばいい…