愛さんは、ずっと手を離さなかった



お土産を見てる時
アトラクションに並んでる時


だんだん慣れてきて
少し離れても
また自然に繋げるようになった




「ねぇ、後ろの中学生の子達
藍くんのこと
かっこいいって言ってるよ」



アトラクションに並んでる時
愛さんが小声でオレに言った



「え?オレ?」



「うん」




ザワザワしててよく聞こえない



「こっち見た‥かっこいい…」


「 …高校生かな?」


「一緒に写真撮りたい」


「…でも、となり彼女じゃない?」


「彼女もかわいいよ…」



そんな会話がなんとなく聞こえる



「ねぇ、愛さんて
ヤキモチとかないの?
前もこんなことあったけど…
ホラ、うちの前に女子が来てたって言った時も
温泉行く時のバスの中でも…」



「うん…ない…
…だって、藍くん
いつも私を見ててくれてるもん
愛されてるもん、私」



かわいい…愛さん



胸がギュってなった



繋いでた愛さんの手を
強く握った



いつまでも
何歳になっても
手を繋いでたい



この手を離さないように
すぐ近くにいたい



ずっと…