「今の子、かわいい…」
「え、どれ?
…あ、ホントだ‥オトコいんじゃん」
すれ違う修学旅行生の団体から
そんな声が聞こえた
愛さん、気付いてない…
うつ向きぎみで
オレの少し後ろを歩いてる
手、冷たそ…
オレの視線に気付いた
「…ごめん
久しぶりのローファーで
なんか、慣れなくて…」
少し小走りでオレに追いついた
「ごめん、オレ速かった
…あと‥ごめん、寒いよね…
手、つなご…」
オレは、手を差し出した
「うん、寒い…」
愛さんが微笑んだ
オレの手に
愛さんが掴まった
華奢で細い指
冷たくて、温かい
オレの好きな人…



