「でも、私、
藍くんのこと何もわかってあげられなくて…
昨日も、藍くんがなんで怒ってるのか
わかんなくて…
彼女もお母さんも失格だな…って
すごく、落ち込んだ
たぶん、私ね…甘え方がわかんない
ずっとひとりでやってきたから…
藍くんは、そんな私に甘えて来てくれた
嬉しかった…
…藍くん、もぉ遅いかな…甘えてもいい?」


愛さんが言ってることが
なんか自分と同じで…


寂しいのも

甘えたいのも

ひとりなのも

全部一緒で…



「愛さん…」


愛さんが涙で滲んでボヤケて見えた



愛さんは今
笑ってる?泣いてる?



「遅くなんか、ない…」



「…藍くん、嫌いにならないで‥私のこと
…藍くん…抱きしめてほしい」


愛さんは涙声だった



オレは愛さんの近くにいって
ゆっくり愛さんを抱きしめた



「…嫌いになんか、ならない…」



「…藍くん、好き‥」



「…キス、してい?」



「…お母さん、見てるよ」



「いいよ…」




オレは母さんの写真の前で
愛さんにキスした



ーーーーー



母さん、ありがと


オレ、ひとりじゃない



この人のことが…

愛さんのことが好きで仕方ない