愛さんの言うことが
何を意味してるのか…
新しいお母さんとしてこの家に来て
でも、父さんとは結婚してないって
前に言ってた
「…どぉいうこと?」
「美香さんが亡くなる前に
お願いされたの…
息子達をお願いしたいって」
「…母さんに?」
「うん…
何から話したらいいかな…
私ね、両親を亡くしてるの
だから、高校卒業してから独り暮らしだった
よく、美香さんにそんな話をしてて
普通、患者さんにそんなこと
話さないんだけど、
美香さんには話しやすかった
そしたら、私の息子もひとりになる‥って
美香さん、すごく心配してた
藍くんのこと…」
「母さんが?オレを?」
「…うん
蓮くん大学に行ったら、
藍くんひとりだって…
お父さんは仕事が忙しくて
家にいないし‥って
病院には度々いらしてたみたいだけど
私はお父さんにお会いしたことなかった
美香さんは私の話を
よくお父さんに話してたみたい
そしたら、美香さんが亡くなってから
お父さんから電話があったの
一緒に住んでもらいたいって…
最初はお断りしたんだけど
たぶん、美香さん、
私のことも心配もしてくれてた
藍くんのお母さんは、そんな人だった…」
オレは、母さんを思い出して
涙が出た
「でも、最初は、
藍くんにどぉ接していいかわかんなくて
戸惑った…
美香さんにお願いされたから、
私が母親代わりに…って
母性もなんだか湧いてきて
たまに藍くんが優しくしてくれると
すごく嬉しくて…
ずっとひとりだったから
藍くんが温かくて…
自分の中で線を引いてたつもりなのに
藍くんと一緒に寝た日、すごく安心できて…
私、好きになってた
藍くんのこと…」



