いらない思い出

私は思い出のことなんて考えたことがなかった。
でも、もちろん考えてみれば思い出なんていらない。
いっそのこと蒼空のことも忘れてしまいたい。

(いらない。いらない。そんなのは思い出したくもない。やだ。やだ。)

俯いて首を振りながら答えた。
明らかに今の私は動揺している。
きっと彼に引かれる。そう思っていたのに

(そうだよな。ありがとう。ごめんな、こんなこと聞いて。)
(じゃあ次、美春だな。)

(じゃあ、金山大我、あなたに思い出は必要?)

なんでか分からないけど思ったことをそのまま口に出していた。

すると彼は一瞬、何かを思い出したかのように目を見開いたあと、今までの笑顔がうそだったかのような切ない顔をした。