「まかない作ろうと思ってるんだけど、良かったら食べて帰らない?」
「いいんですか?嬉しいです」
「詩織ちゃんもまだ時間大丈夫かしら」
「あ、でも私はまだ働いてないんで…まかないなんて」
「いーのいーの、せっかくだし食べて帰って!」
美智子さんの満面の笑みを前にして断れなくなる。
ここはお言葉に甘えようと思った。
「じゃあお言葉に甘えて…ありがとうございます」
「そうこなくっちゃ!
どうする?ここで食べる?」
「み、店の席で食べたいです…!
働いている感じも見たいんで!」
「あら、すごく熱心ね。
そんな気張らなくて大丈夫だからね?」
ごめんなさい、本当は坂野先輩とふたりきりになりたくないだけなんです。
オフモードの彼はきっと、裏の姿を見せるだろうと。
なるべく関わりたくないのが正直なところ。



