「風呂上がった時、詩織が元気なかったから熱でもあんのかなって思っただけ」

「…っ、そ、それじゃあ…」


紘毅くんは額をくっつけて、熱があるか確認しようとしただけ?

本当に私の夢だったってこと?


そんなの恥ずかしすぎる。

ぶわっと熱くなる顔。
穴があったら入りたい。


「純粋に見えて意外とヤラシイこと考えてんだ?」
「ち、違うくて…っ、み、見ないで」

私の顔を覗き込むようにして見てくるため、思わず顔を背けたけれど。


「じゃあお望み通りしてやろうか?
キスってやつ」

「……へ」


思わず間抜けな声が出る。
今、紘毅くんはなんて───


「おーい、詩織?
何フリーズしてんだ?」

「だって…紘毅くん、今なんて…」
「夢に見るほど体験したいんだろ?キスってやつ」


余裕たっぷりの笑みを浮かべる紘毅くん。

女心を弄ばれているような気がして悔しいのに、ドキドキと胸が高鳴ってしまう。