お風呂に上がった後はアイスを食べながら、リビングでテレビを見ながら笑ったり。
何気ないと思っていた日常が恋しくて泣きたくなる。
お父さんの笑顔もお母さんの笑顔も、見ることはないのだ。
「……っ」
涙で視界が歪む。
「お母さん、お父さん…」
そう呼べば、必ず言葉を返してくれたふたり。
今はただ静かな部屋で私の声が響くだけ。
気を紛らわせようと思い、テレビを観るけれど何も面白くない。
今は紘毅くんがいるから大丈夫だったけれど。
これからのことを考えると、やっぱり耐え切れないような気がして。
「……ひとりは嫌だ…」
ベッドの側面にもたれるようにして、体育座りのような格好になり、ひとりギュッと体を丸める。
両親が亡くなった日、こんな風に縮こまっていた。
その事実を信じたくなくて、『嘘だ』と呟きながら。



