何も考えていなかったけれど、これは本格的に考えていかないといけない。
少し不安を覚えつつ、今はまだその事実を忘れたかった。
「紘毅くん、あがったよ」
「ああ、わかった」
髪をバスタオルで拭き、ドライヤーで軽く乾かした後洗面所を出た。
すると紘毅くんはキッチンにいて、洗い物をしてくれていた。
「あっ、ごめん…私のお弁当箱と水筒まで」
「作ってもらってるんだからこれくらい当たり前だろ」
私の分まで洗ってくれていた紘毅くんは洗い物を終えると、洗面所へと向かう。
ポツンと部屋に残された私は、不意に寂しいと思ってしまった。
だって一人暮らしとはこういうことだ。
ひとりの空間に耐えなければならない。
「寂しいなぁ…」
今までは家にお父さんとお母さんがいて。
3人でご飯を食べる中で私は学校の話をしたり、両親は会社のことを話したり。



