「紘毅くんは優しいもん、それは絶対」
「何の自信だよ」
「これまでの経験上だよ」
「まだ一緒に住み始めて半年だろ、これから本性出る予定だから。優しくない本性」
「なに言ってるの、変な紘毅くん」
優しくない本性って、絶対嘘だ。
「とにかく俺はバイト始めるの反対だからな」
「うん…でも、もうすぐ高校も卒業するし、大人になるんだから社会も知っておきたいし、自分で稼げるようになりたい」
そんなこと言ったって、学業もあるのだから胸を張れるほど稼げないのだけれど。
生活費は紘毅くんが払ってくれているし、学費は両親の遺産。
それに祖父母だって私のためにと色々支援してくれている。
そんな優しい周りに甘えてばかりの自分も嫌だ。
「まだ詩織は未成年の子供だろ?
そう焦る必要ないんだよ」
「決めたもん、自立するんだって。
紘毅くんに頼ってばかりも嫌だ」
あまり迷惑をかけないようにしたい。
ちゃんと大学生になって、勉強して就職して。
そしたら私は───



