「私が起こさないと誰が紘毅くんを起こすの!」
「……だからうるせぇって」

「んぐっ…!?」


彼の左手が乱暴に私の口元を塞ぐ。
そして私をベッドに引き込んできた。


「んー!」
「はい確保、一緒に二度寝な」


少しだけ嬉しそうな声。
やることが本当に幼い。

それでも私は紘毅くんに───


と、その時。
トースターの焼けた音が聞こえてきた。


「はい鳴った!
食パンが焼けたよ紘毅くん!」

「……だから?」
「だからって…本当に怒るよ!?」


足をバタバタさせて暴れるのはきっと、胸の高鳴りを隠すため。


「ふはっ、顔赤いけど大丈夫か詩織?」
「……っ!?」


私の腰に手を回して抱きしめる紘毅くんが、意地の悪い笑みを浮かべた。

それだけでもかっこよくて、ドキドキさせるのだからズルい。