「なんだか与倉さんの反応って面白いね」
「…それって褒めてますか?」
「話していて楽しいなって意味だよ」
私の反応を楽しんでいるだけではないか。
けれどその穏やかな雰囲気に優しい声が、どうしても悪い人に思えないのだ。
「じゃあ行こっか」
「は、はい」
私だけが振り回されて、坂野先輩は至って冷静に見えたのだが。
特に反抗するつもりもなく彼と一緒に駅へと向かう。
「家、ここから近いんだね」
「そうですね…ちょうど学校と家の間です」
そして乗り込んだ電車に揺られながら、私たちは他愛のない話をしていた。
といっても、話題提供はほとんど坂野先輩からだったけれど。
「寒くない?大丈夫?」
「あ、はい…大丈夫です」
家の最寄駅に着き、本当に送ってくれるようで坂野先輩も電車を降りる。
真っ先に私の心配をしてくれる辺り、モテる要素満載だ。



