だって紘毅くんは成人したオトナだ。
未成年の私といることがバレてしまえば、あまり良いことはない。
「実は好きな人、いたんだね」
「ち、違います…!紘毅くんはいとこのお兄さんというか…」
「いとこと一緒に住んでるの?」
「……っ」
バカだ自分、もっとこっそりとスマホを開けるべきだった。
確かに堂々と画面を見ていたのだから、坂野先輩に見られていても文句は言えない。
「す、住んでないです…家が近いというか」
「少し深入りしすぎちゃったね、ごめん」
焦るあまり、どんどん墓穴を掘っていく私を見て気の毒に思ったのか、坂野先輩から謝ってきた。
「だ、大丈夫です…!
その、全然気にしないでください!」
ついでに見なかったことにしてほしい。
とはいえ優しい先輩のことだ、これ以上踏み込んでくることはないだろう。



