「ふっ、そこまで焦って食べる必要はないよ?」
急いでいるとバレたのだろう、指摘されて恥ずかしくなる。
少しだけ食べるペースを落としながらも、早く食べようと心がけた。
そして───
「じゃあ俺たちは帰るね」
「あ、待っ…お金」
「後でもらうから今は大丈夫だよ」
一刻も早くこの場を去りたいのか、私の分のお金もテーブルの隅に置いた坂野先輩。
ここはと思い、とりあえず先に出ることにした。
最後に文香が私に対してウィンクをしてきたけれど、帰るだけだ。
残念ながら進展はない。
むしろ坂野先輩と近づける方がすごいだろう。
「ごめんね、気まずくて」
従業員に軽く挨拶を済ませた坂野先輩と外に出るなり、どうしてか真っ先に謝ってきた。



