永久溺愛〜オトナの独占欲は危険です〜





自転車通学の文香も学校の最寄駅前に自転車を置いて、一緒に電車でやって来た。


「もう中にいるって!
入ろう」

「ま、まってよ心の準備が…」


それほど彼氏に会いたかったのか。
私の言葉も聞かずにカフェのドアを開けてしまう文香。

カランカランと音が鳴ったそこは、モダンな内装で落ち着きのあるお洒落な店内だった。


「いらっしゃいませ。
何名様でしょうか?」

20代後半くらいの若い男性店員に声をかけられ、少し緊張してしまう私。


「あっ、お友達と待ち合わせしているんですけど…」
「文香、こっち」


文香が説明しようとしたその時。

少し離れた席から立ち上がって、こっちに向かってくるひとりの男の人の姿が。


クールな印象を与えているその人は、文香の彼氏である東山(とうやま)先輩だ。


「悠くん!急にごめんね…」
「別に。文香の頼みくらいいつでも聞くし」


ん…?
うん?

まったくピリピリしていないように見えるのは気のせいだろうか。