「私だって叶う恋がしたかったなぁ…」

紘毅くんなんて私のことを子供扱いしかしない。
しまいには『俺に嫁げばいい』だなんて、笑えない冗談。


「詩織と隼也くんなら相性良さそうだし、結構本気で恋愛に発展するかもよ?」

「んー…そんなこと言ったって相手はすごく人気者だったじゃんか」


高校1年の頃を思い出す。

イベントがあるたびに写真撮影をお願いする女子生徒たち。


特に文化祭とバレンタインデーはすごかった。

大勢の女子に囲まれていた坂野先輩の姿は今でも思い出せる。


あれほどの人気がある男の人なんて、高校3年になった今は現れていない。

そこそこの人気がある男の人はいるが、坂野先輩は例外である。


きっと紘毅くんも学生時代、モテていたんだろうなぁ。
そう思うと胸が痛むからバカだ。