「瑞樹の言葉は気にすんな。
それにほら、高校生に手出してられるか」

「私、もう18歳だよ…一応オトナで」
「ダメだ、俺が許可しねぇ。それにさ」

「それに…?」

「こうして周りの目を気にせずに詩織と外に出かけられるだけでも、今は十分過ぎるくらい満足だから」


穏やかな笑みを見て、少し泣きそうになった。
紘毅くんなりの優しさである。


「紘毅くん…」

「そういやデートの前に行きたいところあるんだけど」
「行きたいところ?」

「詩織の両親にちゃんと挨拶したい。
やっぱ男としてケジメつけてぇし」

「それって…」


お父さんとお母さんが眠るお墓のことだろうか。
本当に律儀な人である。