【すみません、今日は行けないです】と送れば、【やっぱりね。りょうかい】とすぐに返信がきた。 本当に坂野先輩はわかっていたのか。 紘毅くんが家にいるということを。 どうして言ってくれなかったのだろう。 もしそうなら、直接バイトに行く手もあったというのに─── 「詩織?行けそうか?」 「あっ、うん…大丈夫だって」 「良かった。ごめんな、そっちも休ませて」 「う、ううん…」 なんだろう。 紘毅くんの声がやけに落ち着いていて。 はっきりと耳に届いた。