「せっかくだし、火に油を注ごうかな」
「え、何言っ…ひゃっ!?」
坂野先輩の言葉を理解する間もなく、首筋に唇を当ててきたのだ。
「ま、やっ…」
くすぐったくて。
押し退けようとしたけれど。
チクッと痛みが走り、ようやく離れてくれた。
「はい、上手にできた」
「な、何言ってるんですか…」
「ここまで大サービスしてあげてるんだから、しっかり和解してきなよ」
「はい?」
「それでも無理で嫌になったら俺のところにおいで」
一度頭をポンポンされたかと思うと、次にマフラーを巻いてくれた。
器用な坂野先輩の巻き方は、とても上手だった。



