それと向き合うと決めた今、その瞳に迷いはなかった。 逆に私だ、向き合えていないのは。 逃げてばかりで、紘毅くんと何一つ向き合えていない。 それでも向き合うのが怖くて、今度はおばあちゃんの家に逃げようとしている。 本当に弱い人間。 「坂野先輩、本当にありがとうございました」 ご飯食べ終わった後、ちゃんと片付けてから帰る準備を始める。 あとは防寒具をつけるだけ、というところまで来たその時。 「あ、待って」 「はい?」 突然マフラーを巻こうとした腕を掴まれてしまう。