「せっかくだし与倉さんの手料理食べたいなぁ」
「えっ…」

「宿泊代として何か作ってよ」
「朝ごはんくらい作りますよ、そんなの」

泊まらせてもらったのだ。
そのおかげで紘毅くんと会わずに済んだのだから。


とはいえ朝ごはんのため、そこまで手の込んだものはできず。

ハムエッグとキノコのバター醤油炒め、オニオンスープに焼いた食パンを出した。


「簡単なものですけど…」
「わっ、すごいな。これで簡単なのものなの?」


すごく豪華だと言って、美味しそうに料理を口にする坂野先輩。

紘毅くんも美味しそうに食べてくれるんだよなぁと、気づけばまた彼のことを考えていた。