「大丈夫、他人に甘えたら忘れられるのも早いから」 「さ、誘っても無駄ですからね…!」 優しい声で、甘い言葉を囁いて。 人の心を揺らがせようとしてくる坂野先輩は危険だ。 早く駅に行こうと思い、駅前の人が多くなる道を歩いていたその時─── 「……っ」 「与倉さん?」 突然、その足が止まってしまう。 どうして人が多く行き交っている場所で、見たくもない瞬間を目にしてしまうのだろうか。 昨日の広場とは逆の出口付近で。 スーツ姿の紘毅くんと、昨日と全く同じ女性が一緒にいた。