「なんか突き放されてるように感じるのは俺だけか?」
「何言ってるの、そんなわけ…んっ」
また作り笑いを浮かべようとしたその時。
紘毅くんに唇を塞がれてしまった。
隙を見て、少し強引に。
「他の男に目移りしようもんなら俺が絶対に許さねぇから」
「へ…」
じっと、何かを見透かそうとするようなその瞳。
思わず視線を背けながら、また嘘を口にした。
「そんなの、私のせいで紘毅くんのプライベートを縛りたくないだけ」
「俺の意思だって言ってんだろ」
「それに年末年始はずっと一緒にいられるんでしょ?
だから我慢くらいできるよ」
何しているんだろ、自分。
あの女の人は誰だって、明日会う人は誰なのかって。
それすらも怖くて聞けない。
『行かないで』と引き止めることも、怖くてできない。