『あの人は誰?』ということすら聞けない。
それは自分に自信がなくて、怖いから。
紘毅くんの好意が私に向けられていないという結果になりそうで怖いのだ。
仕事先の人。
そう無理矢理思い込んだとしても、相手がどう思っているのかわからない。
本当に8歳差って嫌だ。
私が子供なんだっていうのが思い知らされる。
「詩織、着いたぞ」
「……ん」
紘毅くんの言葉が耳に届いて目が覚める。
ゆっくり目を開けると、運転席に座る紘毅くんが私の顔を覗き込んでいた。
どうやら寝たフリのつもりが、本当に寝てしまったようだ。
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