「ううん、大丈夫。
並んでたんだよね…?」
「クリスマスだからって結構並んでたな。でも詩織のチョコケーキはちゃんと買ってきたから安心しろよ?」
それほどのことで安心できたら、どれほど良かっただろうか。
「やった、楽しみだな」
嬉しかったはずの気持ちが急降下。
明らかにふたりの距離は近かった。
「詩織?どうした?
元気ないように見えるけど」
「ちょっと眠たいだけだから気にしないで…!」
元気がないのは眠気のせいにする。
突然睡魔に襲われた程にして。
助手席にもたれるなり、目を閉じて寝るフリをする。
が、頭に浮かぶのは先ほどの情景で。



