全然我慢していないではないか。
私は別にいいけれど…いいのだけれど。
「本当にかわいい反応する」
「し、してません…!」
「意外とツンデレなんだな。
詩織ならなんでもいいけど」
甘い、すごく。
糖度の高い紘毅くんに、胸の高鳴りが止まないのだ。
「ケーキは何のケーキにしようかな…!
チキンも大きいのがいいな!」
「……ふっ、子供っぽい」
「まだ未成年だから子供でいいもんね」
オトナになりたいと言いながら、こういうところは本当に子供っぽい。
自分でわかっているけれど、なおらないのはやはり私が子供だからだろう。
「ほら、そんなムキになって。
かわいいけど」
「…っ」
車を運転しながら私の相手もやってのける紘毅くんは要領がいい男だ。
きっと会社でも支持を集めていることだろう。



