「ほら、やっぱり。
早く帰りたい一心だったからな」
少し自惚れるような発言。
いや、もう十分自惚れているけれど。
私のことを好きでいてくれてるのかなって、期待しか抱かない。
一息ついたところで、紘毅くんはスーツの上着を脱いだ。
「こういう時に限ってトラブル起こるんだよな、まじついてない」
上着をハンガーにかけて、備え付けのクローゼットに直す。
そして───
「何笑ってんだよ、詩織?」
ふっと頬を緩めて笑う紘毅くんにドキッとする。
オトナの笑みは、色っぽくてズルい。
ドキドキするに決まっている。
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